腸活知識:「食事だけでは届かない」領域
- Yoshiko Omura
- 10月20日
- 読了時間: 5分

一般的な腸活アドバイス
腸活のアドバイスはどこまで科学的根拠に基づいているでしょうか。
「発酵食品を増やしましょう」
「食物繊維を摂りましょう」
「ストレスを減らしましょう」
これらは間違いではありません。しかし、女性の約半数が抱える問題に対して、この視点だけでは不十分です。
それが、ホルモンバランスと腸内環境の相互作用です。
なぜ今、この視点が必要なのか
現代女性が直面する生物学的現実
データを見てみましょう。
生涯月経回数の変化
1900年頃:約50回
現代:約450回
この9倍という変化は、人類の進化史において前例のない状況です。
主な要因:
初潮年齢の低下(14歳→12歳)
出産回数の激減(4〜5人→1〜2人)
授乳期間の短縮
閉経年齢の上昇
つまり、現代女性の体は、月経による周期的なホルモン変動に、史上最も長期間さらされているのです。
腸活アドバイザーが直面する「改善しない」ケース
このようなケースが非常に多い:
食事指導を真面目に実践しているのに、改善が見られない
生活習慣は問題ないのに、便秘と下痢を繰り返す
サプリメントも併用しているのに、不調が続く
そして、よく見ると:
月経周期に連動して症状が悪化している
PMS症状が強い
40代以降で更年期症状がある
これらのケースに対して、「もっと食事を頑張りましょう」とアドバイスすることは、科学的に適切でしょうか?
エストロボローム(Estrobolome):女性の腸活においての知識
2013年、Adlercreutzらの研究により提唱された概念です。
エストロボロームとは
腸内に存在する、エストロゲン代謝に関与する腸内細菌の総称です。
主な機能:
β-グルクロニダーゼ酵素の産生
抱合型エストロゲンの脱抱合
エストロゲンの再活性化と排泄の調節
双方向の影響
重要なのは、この関係が一方通行ではないということです。
ホルモン → 腸内細菌
エストロゲンレベルが腸内フローラの構成に影響
プロゲステロンが腸管運動性に影響
月経周期に伴う菌叢の変動
腸内細菌 → ホルモン
エストロボロームによるエストロゲン代謝の調節
短鎖脂肪酸による視床下部-下垂体-卵巣軸への影響
炎症性サイトカインによるホルモン分泌への影響
なぜ「自然に」ホルモンバランスが整わないのか
「自然な食事で改善を」というアドバイスの前提には、「本来、体は自然にバランスを取り戻せる」という考えがあります。
しかし、現代女性の置かれた環境を見てみましょう。
ホルモンバランスを乱す現代的要因
1. 月経回数の異常な増加
生物学的に想定されていない頻度のホルモン変動
卵巣への負担増加
子宮内膜の周期的変化の繰り返し
2. 環境因子
内分泌撹乱物質(環境ホルモン)への曝露
慢性的な睡眠不足による概日リズムの乱れ
人工光による松果体機能への影響
慢性ストレスによる視床下部-下垂体-副腎系の機能不全
3. 生活様式の変化
運動不足による代謝への影響
夜型生活によるメラトニン分泌の低下
社会的ストレスの増加
これらの要因が重なり合う環境下で、「自然に整う」ことを期待するのは、科学的に無理があるのです。
統合的アプローチの必要性
重要なのは、「ホルモン治療 vs 腸活」という二項対立ではありません。
適切なホルモン環境の整備 + 腸内環境の改善 = 相乗効果
これが、データから見えてきた現実です。
避けるべき考え方
❌ 「薬は体に悪いので、自然な方法だけで」
→ 根拠:なし。適切な医療介入は、QOL向上と腸内環境改善の両方に寄与する可能性がある
❌ 「もっと発酵食品を増やせば良くなります」
→ ホルモンバランスの乱れが根本原因の場合、食事だけでは限界がある
❌ 「ストレスを減らしましょう」
→ ホルモン不調そのものが強いストレス。症状改善が先決の場合もある
❌ 「ホルモン治療をすると腸内環境が悪化します」
→ 科学的根拠なし。むしろ逆のデータも存在する
多くの方が、ホルモンケアや医療的なアプローチに対して、不安や抵抗感を持っています。
「できるだけ自然な方法で」
「薬には頼りたくない」
その気持ちは、よく理解できます。
しかし、実際には:
現代の医療は、かつてとは大きく異なる
個々の状態に合わせた、きめ細かい調整が可能
QOL(生活の質)の向上を目的としたアプローチがある
そして何より、データから見えてきたのは、適切なホルモンケアが、結果的に腸内環境の改善につながるケースがあるという事実です。
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今回の講座では、婦人科医の松岡和子先生と、腸内細菌の専門家大村佳子が、
女性の体の仕組みにフォーカスしてを、わかりやすく・楽しく解説します。
女性の不調とホルモンの関係
ホルモン治療とは何か
腸内環境がホルモンに与える影響
ホルモン治療が腸内環境に与える影響
婦人科医の本音トーク
女性の腸活には欠かせな知識を身につけるための1時間です。松岡先生と大村のトークは軽快なトークで、「知らなかった!」がきっと何度も訪れる内容です。
10月24日(金)20:30〜21:30(Zoom/アーカイブ視聴あり)
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講師:大村佳子(マイクロバイオーム解析士®)
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(10月22日までにお申し込みください)
「食事だけ」「腸活だけ」では成果がでなかった方に、より広い視点から考えるきっかけになれば幸いです。




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